ディレクターズワークショップ2018大阪 「2日目」

 

2日目。

豊島班は、改めて昨日の反省会。箱馬、棒などを使い身体に負荷をかけようとしたが、負荷というところまでいけなかった。ということで、それらの道具の使用をやめる。

 

ペアで、オーバーアンダーという動きに挑戦。これは言葉で説明するのが難しいが、簡単に言うと、相手に座ったり、乗ったり、踏んづけたりいう動作を、お互いが自由に仕掛けていくものだ。

まだ出会って2日目の私達。どうしても遠慮が出てしまう。その遠慮を無くす為にも、オーバーアンダーに繰り返しトライする。だが、まだ俳優それぞれがどう動けばいいのか戸惑っている様子。この動きに台詞をのせてみるが、腑に落ちていないようだった。

私は見ていて、身体は本当に正直だと感じた。俳優の揺れている心境が身体にそのまま表れてくる。豊島さんは俳優の不安も読み取っており、動きが曖昧になるところは一手一手を明確にするよう指示を入れる。俳優はついていくが、動きの意図を掴むのが難しそうである。この時私達の班には、お互いの考えを言葉にして確かめ合う関係性が築けていなかったように思う。

 

この日は振りをつけ、衣装も揃い、照明などの演出方向も固め、一見準備万端という形で経過報告、上演をした。2回目でここまで仕上げて作品を持ってこられたことは、豊島さんの準備に対する手抜かりの無さや、俳優の飲み込みの早さが救いであったと感じる。しかし観客からは、私達の稽古をどこからか見ていたのでは…というような、的を得た質問、意見が飛び交った。今の上演では、俳優が演出家の指示通りに動いているようにしか見えないと。これまでの稽古で、演出家と俳優、演出助手、稽古場助手でちゃんと話が出来ていたのか、戯曲をどう読んだか共有がなされているのか、という指摘を受ける。

2日目は、全体として苦戦している様子であった。とある班に対しては、

「今の上演はこの場にいる全員に失礼。また、これは演出だけでなく班全員の責任だ」

との意見がぶつけられる。

私は自身に問いかけた。ここに何をしに来たのだろう、稽古場助手という立場に甘んじてはいないか…と。班に対しても、このDWSの場に対しても、何ひとつ貢献出来ていないという自覚があった。非常に恥ずかしく、後ろめたい気持ちになる。

 

その後班で反省会。

先ほどの意見は、皆の心にも何らかの影響を与えていたようである。まだぎこちなさはあるが、思いを発信しなければとそれぞれが懸命に言葉を探す。少しずつ、一人一人の考え、感じていることを共有しようという空気が生まれ始める。

私はこの時思った。もっと戯曲を具体的に読み込み、それを皆で共有することで、より説得力のある上演が出来るかもしれない、と。

今後の方針などを話した後、豊島班は解散。

他班はまだ居残っているようだった。私はここで、広田班の稽古を目撃する。

「なぜ今そう動いたの?」「ここはどう動きたい?」

広田さんが俳優に語りかける。俳優の答えを聞き、採用、不採用をジャッジ。その繰り返しで稽古は進められていく。俳優の方から要望が出ることも。ここでは演出家と俳優が対等な関係にあり、お互いがのびのびとしていた。広田さんは、台詞の動機と目的をしっかり持つことを求めてくる。俳優はそれを理解している為、行動がとても明確。自信を持って演じているのが見てとれる。

私は、広田班の稽古を最後まで見学した。ここで目撃したことは、次の日以降の稽古はもちろん、今後の自身の在り方にも影響を及ぼすものであった。

 

 

続く

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